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新築建物の建築中に相続が起こったら?

2020.03.20

こんにちは。
司法書士・行政書士・土地家屋調査士の西出です。

昨年12月1日に、税理士の山方先生が本レポートにて、
「土地の売買契約期間中に相続が起こったら?」というコラムを書かれていました。

先月、私も似たような事例がございましたので、ご紹介させて頂きます。

 

<事例>
夫       A
Aの妻      B 
AとBの子     C(未成年者)
ハウスメーカー D社
銀行      E銀行

 

令和1年5月10日 A・BとD社間で工事請負契約を締結

令和1年5月30日 A・Bは、上記の家を建築するために、A・Bを連帯債務者とする、 

          E銀行のつなぎ融資で、甲土地を購入(持分は、2分の1ずつ)

令和1年6月10日 建築確認済証が発行される

         (A・B連名であるが、持分は記載されない)

(建築中) 

令和1年8月10日 Aが死亡

(建築中) 

令和1年9月30日 建物完成 → 検査済証が発行される
         (A・B連名であるが、持分は記載されない)

令和1年10月1日 土地購入費用・建物建築費用の全額をまかなえる金額で、Bのみを
債務者とするE銀行の承認がおりる。

この時点で、

・建物表題登記
・所有権登記名義人住所変更登記
・所有権保存登記
・抵当権設定登記

を、D社から依頼された訳ですが、普段通りにはいきませんので、解決しなければならない論点を整理しましょう。

論点ⅰ
土地の名義がA・Bの各2分の1ずつとなっているため、E銀行の実行にあたって、これをBの単独名義とする必要がある。

そのためには、被相続人Aについて、遺産分割協議が必要となる。

しかし、Cが未成年者であるため、遺産分割協議に参加出来ず、家庭裁判所の特別代理人の選任の審判が必要となる。

論点ⅱ
E銀行の実行にあたって、建物表題登記をBの単独名義でしたいが、建築確認済証及び検査済証がA・Bの連名で出てしまっている。

この状態で、Bの単独名義で建物表題登記をするためには、本来、Aの承諾書(印鑑証明書付)が必要となるが、Aが亡くなってしまっている。

検査済証が出る前迄であれば、建築主をBとする変更届を出すことで、検査済証の名義をBと出来るが、検査済証が発行された後は出来ない。

従って、A・BとD社で締結された、令和1年5月10日付の工事請負契約の権利義務一切をBが相続する旨の遺産分割協議が必要となる。

しかし、Cが未成年者であるため、遺産分割協議に参加出来ず、家庭裁判所の特別代理人の選任の審判が必要となる。

 

従って、お手続きの順序としては、下記のようになります。

①遺産分割協議書(案)を作成
②①の遺産分割協議書(案)で遺産分割協議を行うための特別代理人の選任の申立を行う
 (今回は、Cの親戚を特別代理人として申し立てた)
③特別代理人が選任され、遺産分割協議を行う
④③の遺産分割協議書と戸籍を添付して、甲土地の相続登記を行う
⑤③の遺産分割協議書と戸籍と工事請負契約書を添付して、新築建物の建物表題登記を行う
⑥抵当権設定登記を申請して、E銀行の最終実行
⑦お引渡し

通常の新築建物の最終実行は、クロス貼り完了から2週間ほどで完結するのですが、今回は、数ヶ月が必要となりました。

非常にレアなケースですが、建物の建築は、数ヶ月から1年に及ぶ場合もありますので、今後もあり得るケースかと思います。

今回、もし、遺産分割協議書(案)作成時に、建物の帰属を記載し忘れると、建物表題登記を申請できず、再度、特別代理人の審判が必要となり、更にお時間がかかってしまいますので、くれぐれも注意が必要です。

このような事例では、司法書士・土地家屋調査士の両者の視点で、お手続きが出来る専門家に任せるのが良いのでは無いでしょうか。

筆者紹介

西出 光徳
司法書士・行政書士・土地家屋調査士 ふくおか法務局前オフィス 代表
福岡県司法書士会、福岡県行政書士会、福岡県土地家屋調査士会
司法書士、行政書士、土地家屋調査士、宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、少額短期保険及び損害保険募集人資格

一言に相続といっても、信託、車や不動産の名義変更、遺言、遺産分割における分筆登記、未登記建物の表題登記等々多岐にわたります。
弊社は、代表自身が司法書士、行政書士、土地家屋調査士であり、また、不動産仲介(売買・賃貸)の経験から、全体を見通した提案を出来る事が最大の強みです。
例えば、これは実際にあった話ですが、相続人2名の方から、「親父の土地を半分に切って、それぞれ相続登記をして下さい。」と依頼されました。しかし、物件調査を行うと、土地を半分に切ることによって、都市計画法上の最低敷地面積を下回ってしまい、建物が建たない二束三文の土地になるところでした。このような場合でも、登記自体は通ってしまうところが怖いところなのです。弊社は、そのような事にならないよう、安心・安全な法的サービスを提供するよう努めております。
何から相談したらよいの分からない、どこに相談したらよいのか分からない、そんなときこそ弊社にお気軽にご相談下さい。笑顔で元気よく、迅速にご対応させて頂きます。

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