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「死亡保険金の受取人」について

2015.02.20

生命保険は、とても良く効く、無くてはならない「相続対策」です
しかし 若いころに加入した生命保険や、目的もなくおつきあいなどで契約した生命保険が、
たまたま相続対策になることは ほとんどありません。

 

なぜか?

その理由は簡単です。「相続に詳しい生命保険の販売員」がほとんどいないからです。

相続がわかっていない人間から加入しても、有効な相続対策になるわけがありません。

 

有効な対策にならない理由の「典型例」が「死亡保険の受取人はだれ?」という点です。簡単なようで難しい「死亡保険金の受取人」。もう一度、よく確認してみましょう。

 

【 多いのは 受取人=「配偶者」 】

まず一番多いのが、受取人が「配偶者」であるケース。

これは、生命保険の目的が「遺族の生活資金」や「残された子どもの学費」などであれば正解ですが、相続対策としては疑問が残ります。

 

なぜか? それは、配偶者は相続税がかかりにくいからです。

配偶者は相続した財産が法定相続分、もしくは1億6千万円までであれば相続税はかかりません。もし生命保険金を納税資金にするのであれば、必要なのは「子」たちとなります。まずは、遺産の分割まで考えないと、生命保険は有効な相続対策にはならないということです。

 

【 古い保険 受取人=「法定相続人」 】

またずいぶん昔に契約した古い生命保険の場合、死亡保険受取人の欄に「法定相続人」と書かれていることがあります。これは、生命保険は受取人を指定できる=簡易的な遺言書の代わりになるという大事な機能を、最初から放棄していることになります。

受取の際に、法定相続人を特定するためのすべての戸籍の提出や、実印の捺印、印鑑証明の提出など、遺言がない場合の遺産分割と同じような手続きとなるのです。

 

このような表記を見つけた場合は、すぐに受取人変更(受取人指定)の手続きをされることをお勧めします。

 

【 「%」が書いてある 受取人=「複数の家族」 】

これも多いケースですが、受取人が複数書いてあるケース。

例えば、「長男25%・次男25%・長女25%・三男25%」や「妻50%・長女30%・次女20%」などと書いてある場合。これは一見、「仲良し家族」のようで良いように見えますが、実際の手続きはかなり大変です。

 

なぜか? それは ほとんどの生命保険会社が、受取人が複数でも、保険金は代表者の1名にしか支払わないからです。これを知らない方が非常に多い。

 

ですので、「代表者を決めて」→「他の人はその代表者でOKの旨を署名し、実印を押して、印鑑証明を添付」→「代表者の口座にまとめて保険金が振り込み」→「代表者が割合に応じて配分」という長い長い手続きになります。保険会社は、ちゃんとその割合どおりに代表者が分けたのかについては 関知しないのです。

 

私は、相続対策で生命保険に加入する場合は、例えば保険金2000万円であれば、2000万円×1契約ではなく、500万円×4契約をお勧めします。そのほうが、後々のバランス調整もしやすいからです。

 

【 遺留分の代わり? 受取人=「相続するものがない子」 】

最後に、これも大変わかりにくいケースですが、あまり相続するものがない子などに対して、生命保険の受取人にすることで、バランスを取ろうという考えの方がいます。

 

例えば「子」には、最低限の相続を受ける権利として「遺留分」という法律があります。

遺留分は、遺言書よりも強い権利です。例えば自宅しか相続するものがない場合、長男に相続させたいが、次男が遺留分を長男に請求すると困ったことになる。そこで死亡保険金の受取人を次男にすることで、納得してもらおうというわけです。

 

結論から言いますと、それは相続対策としては問題が残ります。

なぜか?

それは「生命保険は遺産分割の対象外」なので、「遺留分の計算の対象外」だからです。ですので、上記の自宅のみのケースの場合、次男は死亡保険金を受け取りますが、それはそれとして別に長男に遺留分の請求ができてしまうのです。

 

ちょっと納得いかないという方もおられると思いますが、このケースでは、「長男が死亡保険金を受け取って」→「次男に代償金として渡す」というプロセスが必要となります。難しいところですが、ここを知っているか知らないのかで「争族が起きるかどうか」が大きく変わってきます。くれぐれも注意してください。

 

【 生命保険に加入する前に・・・ 】

世の中には、相続税の計算のしかたや注意点を知らないのに、相続対策になると称して生命保険を売っている保険販売員が大勢います。

 

皆さんは、相続対策の生命保険を検討するのであれば、少なくとも「相続税の試算」や「遺産分割の検討」をしてから、必要な場合のみ・必要な分だけ 加入してくださいね。

 

弊社では、「相続相談」および「生命保険の診断」を無料で行っております。

ご心配な方は、いつでも弊社 福岡相続サポートセンターまで、お問い合わせください。

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筆者紹介

高橋 大貴
福岡相続サポートセンター
相続コーディネーター

世の中に生命保険を売る人はたくさんいますが、「相続や不動産にも生保にもくわしい人」は、じつはあまり多くありません。
相続のことが心配になったら、「相続に強い生保プロ」である私 高橋 大貴に、いつでもご相談下さい。
生命保険は相続対策の万能選手といわれています。しかし、大変に複雑でわかりにくいものです。また、年をとるごとに、年々加入が難しくなっていくものでもあります。
まずは「現在加入している保険の診断」から、お早めにご相談下さいませ。

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